今回は院長の愛猫について紹介します。【患者背景】猫(ラガマフィン)、3か月、雄【主訴】ペットショップより腹部膨満にて来院した。【検査、評価】エコー検査、血液検査を実施。エコー検査にて腹水を認めた。腹水抜去を行い、血液とともにPCR検査を行った。【診断】猫伝染性腹膜炎(FIP)【治療、経過】GS441524製剤を使用し治療を行った。現在2歳を迎えるが再発はなく元気に過ごしている。【考察】FIPは猫の致死性の感染症である。FIPの病原体である猫コロナウイルス(FCoV)は猫の一般的な病原体であり飼育猫の20-40%が保有していると考えられている。FCoVに感染した猫の多くは無症状または軽度の下痢を示すのみであり、FIPを発症するのはわずか数%といわれている。理由として猫体内での遺伝子変異に伴うFCoVの強毒化と考えられている。主な所見としては腹部膨満(腹水貯留)、呼吸困難(胸水貯留)、神経症状、眼症状(ぶどう膜炎)、黄疸、腫瘍形成などが見られる。診断は臨床所見と血液検査、ウイルス学的検査を総合的に判断する。血液検査では、リンパ球減少、好中球増加及び左方移動、貧血、A/G比の低下、急性期タンパク質(SAA、α-1AGP)の増加が見られることが多い。治療方法はGS-441524製剤(核酸アナログ)やレムデシビル、モルヌピラビルの投与等である。当院ではGS-441524製剤とモルヌピラビルを取り扱っております。世界的にFIP の治療に用いられているのはGS-441524製剤であり、ISFM(国際猫医学会)は英国政府の承認を受けた特定の会社が製造するGS-441524とレムデシビルについて治療プロトコルを作成し、公表しています。