胃腸うっ滞とは?胃腸うっ滞とは、何らかの原因で胃や腸の動き(消化管運動)が低下し、食べた物や毛が消化管内に停滞する状態です。胃腸の動きが低下すると・食欲低下・便の減少・ガスの貯留・腹痛などが認められます。重症化すると命に係わることもあります。主な症状・食欲がない・便が小さい、量が減っている・元気がない、隅でじっとしている・ギリギリと歯軋りをしている・お腹が張っている特に「食欲低下」と「便の量や大きさ」は重要なサインです。便の量と便の大きさ胃腸うっ滞の原因胃腸うっ滞は単独の病気ではなく、様々な原因が背景にあり引き起こされる事があります。・食事の問題牧草摂取不足や牧草の繊維質不足(三番刈りの使用やアルファルファやイタリアンライグラスなどの使用)ペレット中心の食事やペレットの繊維不足果実やドライフルーツの使用・ストレス環境の変化気温変化気圧変化引っ越しや移動・歯科疾患切歯や臼歯の不正咬合根尖膿瘍・その他の病気結石などの尿路疾患換毛期に伴う毛球症骨折や関節炎などの整形疾患未避妊や未去勢での生殖器疾患心臓や肺での循環器疾患ロップイヤーでの肝葉捻転(肝臓の一部が捻じれてうっ血や壊死を引き起こす)等が挙げられます。また胃腸うっ滞は状態が継続すると悪循環に陥り、更なる悪化をする事が多いです。治療治療は以下のようになります。・痛みのコントロール(鎮痛剤や痛み止めの使用)・胃腸運動改善薬の使用・給餌処置(ご飯食べないと胃腸が動かないため)・皮下点滴や静脈点滴(循環の改善と胃腸運動促進効果)・原因疾患の特定と治療 例:不正咬合→切歯や臼歯のカット症例紹介①根尖膿瘍による疼痛由来での胃腸うっ滞【患者背景】ロップイヤー 未去勢オス 4歳【主訴】食欲が低下している。また右頬が腫れている。レントゲン検査、血液検査を実施しました。血液検査では異常はなく、レントゲン検査では胃腸にて食渣の停滞と右頬の腫脹を認めました。【診断】根尖膿瘍とそれに伴う胃腸うっ滞と診断【治療】静脈点滴と給餌により一時的に状態を上げ、数日後全身麻酔下にて膿瘍の摘出を行いました。その後、徐々に状態が改善し自力で採食し、退院しました。腹部レントゲン画像と顔面レントゲン画像(顔の右側が腫脹している)②巨大結腸症による盲腸うっ滞【患者背景】ホーランドロップ 未避妊メス 3歳【主訴】食欲が廃絶している。排便も全くしない。触診上では腹部にて塊病変があり、レントゲン検査を実施しました。レントゲン検査では盲腸にて糞の塊が多量に認めました。【診断】巨大結腸症による盲腸うっ滞ウサギの巨大結腸症(メガコロンシンドローム)は大腸の蠕動運動が低下し、便をうまく送り出せずに腸が慢性的に拡張してしまう病気です。遺伝的背景があることが分かっており、ロップ種のブロークンカラー(白毛色をベースに2~3色のブチ模様が入るカラー)の遺伝子異常が関わっています。予防のために出来ること胃腸うっ滞を予防するためには、・1番刈りチモシーなどの牧草を十分に与える・ペレットは繊維質の多い物を選ぶ、適正な量の給餌・ドライフルーツ等はあげず、体重のコントロール・定期的なブラッシング、換毛期中は一日に何度もブラッシングや病院にてグルーミング・食欲や便の状態を毎日確認する・定期的な受診や歯科検診を行うことが大切です。まとめウサギの「食欲がない」は緊急性の高い症状です。ウサギは病気を隠すため、症状が目に見えた時には進行しているケースが多いです。そのため、「少し様子を見よう」と思っているうちにあっという間に重症化してしまう事も多々あります。いつもと少し体調が違うや食欲低下や便での変化に気が付いたら、出来るだけ早く動物病院へご相談下さい。