今回は患者様のAちゃんについて紹介します。こちらの症例紹介についてはオーナー様の快いご承諾とご協力に感謝いたします。【患者背景】猫(ノルウェージャン・フォレスト・キャット)、4歳、避妊メス【主訴】尿管結石と診断され外科的切除を希望。【既往歴】トリコモナス感染症(治療済)右小眼球症【検査、評価】レントゲン検査上では、結石を疑う物質を認めた。【診断】右尿管結石【治療、経過】オーナー様とご相談し、外科的療法を実施した。猫の尿管結石に対するアプローチとし、尿管膀胱吻合術、尿管膀胱新吻合術、SUBシステム、膀胱鏡を用いた結石除去術や、結石破砕装置による破砕術等がある。SUBシステムや膀胱鏡や結石粉砕装置は特殊な機械が必要であり、今回は尿管膀胱新吻合術を実施した。その後、無事に退院した。【考察】猫の尿管結石は、腎臓から膀胱へ尿を運ぶ尿管に石が出来る状態です。猫の尿管の内腔の直径は約0.4~0.8mmとかなり細く、1mmの結石で閉塞することがあります。完全に閉塞すると急性腎不全や尿毒症を招き、約1~3日で命に係わる危険な病気です。症状としては食欲不振や活動性の低下、嘔吐、血尿等が生じます。猫の上部尿路結石の90%以上はシュウ酸カルシウムで、食事療法で溶解しないため外科手術が必要になります。本症例も結石分析の結果、シュウ酸カルシウムでした。様々なオペの方法があり、メリットやデメリットがあります。それを纏めた論文は下記にあります。https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/aop/javma.25.09.0611/javma.25.09.0611.xml今回は、特殊な機械等を使わず術後の尿管閉塞率や細菌感染率の低い尿管膀胱新吻合術を選択しました。従来の方法である尿管膀胱吻合術(Drop-in法)では、結石より腎臓側で尿管を切断し、膀胱に縫合を行っておりました。比較的新しい尿管膀胱新吻合術は、下記の図のように切断はせずに膀胱に縫合する事で、手術後の尿管閉塞率をより下げることが見込まれます。尿管と膀胱を髪の毛(0.05~0.1mm)と同等の細さであるプロリーン7-0(0.05mm)の糸を用いて、一糸ずつ慎重に縫合を行います。縫合や臓器が下のページに出ますので、苦手な方は下へのスクロールはご遠慮ください。オペの手法オペ前のレントゲン画像(赤丸が尿管結石)オペ後のレントゲン画像(結石の除去)摘出した結石膀胱(左)と尿管(右)の縫合